少し前のことですが、本ブログ記事の担当者が連休を利用して10年ぶりに鹿児島県の屋久島に行ってきました。その時に見た屋久杉のことを以下にまとめます。 屋久島の概要 まずは屋久島のことを簡単にご紹介します。屋久島は、弊社の所在地長野県松本から南西へ直線距離でおよそ940キロのところに位置する、隆起した花崗岩と堆積岩から成る島です。大きさは周囲約130キロ。島の90パーセントが森林です。平地での年間平均気温は約19度、年間降水量は約4500ミリで、松本市の平均が約1000ミリなので、4.5倍ほど多いことになります。 屋久杉とは 屋久杉の定義と特徴 『屋久杉』は、屋久島で育った杉のうち、標高500メートルを超える山地に自生し、樹齢がおよそ1000年を超える杉のことを指します。中には2000年を超える杉も見られます。1000年に満たない杉は『小杉』と呼ばれます。杉の平均寿命は500年であることを考えると、屋久島の杉たちは長生きです。 長寿の理由 屋久島は雨がひっきりなしに降り注ぎ、土を洗い流してしまうため、栄養となる土壌が薄く、杉の成長は遅いです。ゆっくり育つことで年輪は緻密になり、防虫効果や抗菌作用のある精油と呼ばれる樹脂を溜め込みます。この精油が樹木内への虫や菌の侵入を食い止め、長寿を助けています。 歴史と現在の屋久杉 屋久島の杉は良質な木材として重宝され、江戸時代には島津藩の専売品として伐採されていました。現在の屋久島で見られる『屋久杉』の多くは、400年前に木材には適さないと判断され、切り残された不恰好な樹々です。深い森の中では日光が遮られ、若い杉はなかなか育ちませんが、伐採や自然災害で巨木が倒れた後には、光が当たるようになった場所で若い杉が育ちます。これは『更新』と呼ばれる現象です。 以下の写真は切り株更新と呼ばれるもので、日当たりの良い切り株の上で新しい木々が根付き育っていく現象です。 有名な屋久杉 縄文杉 屋久杉の中でも特に有名なのが縄文杉です。1966年に発見され、現在確認されている日本最大の杉です。樹齢は7200年とも言われますが、最近の研究では2170年というデータもあり、はっきりとはわかりません。どちらにしても数千年という気の遠くなるような年月を同じ場所で生き続けていることに変わりはなく、その姿には感嘆せざるを
新建築積算士ガイドブックの活用と最新動向
今回は新建築積算士ガイドブックの概要と、その最新改訂内容についてご紹介します。 建築積算士ガイドブックとは 新建築積算士ガイドブックは、日本建築積算協会が認定している資格試験の出典根拠となるもので、主に積算実務に特化したガイドブックです。建築積算士という資格を取るための勉強にも使われ、建物の設計や工事の計画を立てるときに役立ちます。この本を使うことで、正確な工事費を見積もることができるようになります。 建築積算に関する資格 建築積算に関する資格には、建築積算士補、建築積算士、建築コスト管理士があり、業務領域やスキルは積算士補から積算士、コスト管理士へと広がっていきます。 ガイドブックの内容 ガイドブックには、建築積算の基礎から、工事の発注・選定方式、工事費の構成、積算実務、積算データ分析、VE手法など、幅広い情報が掲載されています。特に、建築数量積算基準・同解説(令和5年版)と重複する部分が多いため、積算時には合わせて確認することをおすすめします。 最新の改訂内容 (2024年7月現在) 木造建築の追加 今回の改訂で新たに木造建築に関する内容が追加されました。これまで構造部分の規定がなかった木造建築について、2023年4月に建築数量積算基準及び建築工事内訳書標準書式が改訂され、木躯体に関する基準がガイドブックに加わりました。低層で小規模な軸組工法の建築物に適用されるもので、木造住宅の積算は対象外とされています。 BIMの導入 BIM(Building Information Modeling)についても新たに言及されています。国土交通省では「官庁営繕事業における一貫したBIM活用に関する検討会」を実施しており、積算にBIMデータを活用する「BIM連携積算」を試行しています。この取り組みは、延べ面積3,000㎡以上の新築設計業務に適用されます。 解体工事の追加 解体工事に関する内容も新たに追加されました。解体工事は今後ますます重要性が増す分野であり、その積算方法や基準についての理解が求められます。 コスト管理の重要性 ガイドブックには工事費の概算手法についても記載されています。積算協会は、基本計画段階の概算が重要であると考えているようで、実施設計時の予算オーバーや設計変更を防ぐため、詳細で精度の高い概算費を算出することを推奨しています。