デンマークの郵便サービス終了に触れて 先日、「ポストノルド(PostNord)」が2025年末をもってデンマークでの手紙配達を終了し、およそ400年にわたる歴史に幕を下ろすというニュースが報じられました。ポストノルドは、デンマークとスウェーデンで郵便事業を提供している政府系の郵便会社です。 背景には、デジタル通信の普及によって手紙の利用が大幅に減少し、過去25年で配達量が9割も減って採算が取れなくなったことがあるようです。加えて、デンマーク国内の郵便ポストも順次撤去されるとのことでした。 当たり前だったものが姿を消すということ このニュースを受け、「手紙」というコミュニケーション手段がなくなるという現実に、驚きを覚えた方も多いのではないでしょうか。私たちの生活の中で、手紙はあって当然のものでした。けれど、時代とともにその存在が見直され、やがて消えていくこともあるのだと、実感させられます。 コミュニケーション手段の多様化と手紙の役割 現在では、直接会話をする、電話をかける、SNSやチャットを利用するなど、さまざまなコミュニケーション手段があります。しかし、それぞれに「重さ」や「距離感」が異なると感じるのは、このブログの筆者だけではないはずです。 中でも手紙は、言葉を丁寧に選び、紙に書いて相手に届けるというプロセスを伴うため、他の手段とは異なる「深さ」や「思いのこもり方」があるように思います。だからこそ、完全に代替できる手段は存在しないのではないでしょうか。 日本における郵便の現状 年賀状の減少が示すもの 日本では、手紙といえば年賀状を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、その発行枚数は2003年の約44億6000万枚をピークに、2024年にはおよそ10億7000万枚まで減少しています。約4分の1という数字は、文化の変化のスピードを象徴しているように感じられます。 郵便の役割の変化 請求書や各種明細なども、紙からWeb上での確認に切り替わるなど、文書のやり取りは年々デジタル化が進んでいます。郵便サービス自体の役割も、確実に変化してきているのです。 日本郵便の使命と課題 日本の郵便は2007年に民営化されましたが、「郵便物」に関してはユニバーサルサービスとして、全国どこでも同一料金・同一品質での提供が法律で義務付けられてい
「道」とインフラ老朽化問題、人生哲学
最近相次いで報道されている下水道事故や道路陥没。こうしたインフラの問題は、建築に関わる私たちにとっても他人事ではありません。今回は、「道」という言葉をキーワードに、まずインフラ問題について考え、その後道にまつわる名言から哲学的なものの見方に触れてみたいと思います。 老朽インフラと「道」の危機 相次ぐ下水道事故とその背景 秋田県男鹿市では、下水導管内に滞留していた有毒ガスによる死亡事故が発生しました。また、埼玉県八潮市では、老朽化した下水道管が原因で道路が陥没するという事故も報告されています。これらはすべて、老朽インフラの放置がもたらすリスクを浮き彫りにしています。 全国に広がる老朽化問題 国土交通省の調査によれば、令和4年度に発生した道路陥没件数は全国で約1万件に上り、都市部では下水道施設が原因となるケースが多く見られます。特に、高度経済成長期に整備された都市部では、コンクリート製下水道管の耐用年数(約50年)を超えたインフラが急増しています。 更新の難しさと各自治体の取り組み インフラ更新には多額の費用がかかり、人口減少により使用料収入が減少する中で、短期的な対応は難しい状況です。その中で、例えば大阪市では民間委託の活用やAIによる劣化調査を導入し、松本市では年代順から劣化度優先へと更新方針を転換するなど、全国で創意工夫が行われています。 建物の寿命と責任 建築物にも寿命があります。古くなった建築物には老朽化や耐震性不足の問題など、さまざまな課題が存在します。このblogの筆者は、調査・分析を通じて的確な改修計画を立て、トラブルが起きる前の「予防的措置」をしていくことが重要と考えます。 言葉に見る「道」の教え 歴史や偉人から学ぶ「道」 「意志あるところに道は開ける」 – エイブラハム・リンカーン 「千里の道も一歩から」 – 老子 「人生は道路のようなものだ。一番の近道は、たいてい一番悪い道だ」 – フランシス・ベーコン 「人が通ったところに、道は出来る」 – フランツ・カフカ 現代の言葉から学ぶ 「小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道」 – イチロー 「この道を行けばどうなるものか…迷わず行けよ。行けばわかるさ」 – アントニオ猪木 すべ