
ブログ筆者は普段、電車で通勤しており、松本駅を毎日のように利用しています。数ヶ月ほど前から、これまで見かけなかった新型の車両を度々目にするようになりました。今回は、この新型電車について調べた内容と、建築設計との共通点についてお話しします。
28年ぶりの新型車両:JR東日本E131系
最近見かけるようになった車両は、JR東日本が28年ぶりに長野県エリアに投入する「E131系」と呼ばれる新型の普通電車です。
運行区間は、東京の高尾駅から長野駅まで。2026年秋頃から営業運転を開始する予定です。現在は、2日に1回ほどの頻度で、営業車両の邪魔にならないよう運行区間を複数に分けて試運転が行われています。
E131系は、JR東日本の管轄内で初めて導入されるわけではありません。2021年に房総・鹿島エリアに初めて導入された後、同年11月に相模線、2022年には日光宇都宮線などで、老朽化した車両の後継として置き換えが進んでいます。
長野エリア仕様のデザイン
各路線の車両の外観の違いは、側面の配色、帯の色、そして前面のドット柄のデザインです。
長野エリアの車両の側面には、現行型211系のカラーリングを踏襲した、水色と緑色の2トーンの帯が施されています。前面には、特有のドット柄でアルプスの山並みが表現されています。
他の路線の車両と比べると、ドット柄の違いはそれほど目立つものではないかもしれませんが、地域性を感じられる親しみが持てる良いデザインだと感じました。
新型車両の5つの改善ポイント
JR東日本から公表されている資料によると、E131系には5つのカテゴリーで新たな機能や改善が加えられています。それぞれ簡単にご紹介します。
1. 安全性の向上
車内への防犯カメラの設置に加えて、車両の側面にもカメラを設置し、乗務員が運転台から乗客の乗り降りを確認できるようになっています。
2. 車内の快適性の向上
座席1人あたりの幅を拡大し、クッション性を高めることで乗り心地の向上を図っています。
車内のデザインは、アルプスの水の恵みをイメージしたブルーを基調としているそうで、現行車両の青色よりも一段と落ち着いた印象を受けます。
3. お客様への情報提供の充実
これまでの現行車両にはなかったLEDのカラー行き先表示機を車内のドア上部に設置し、多言語による情報提供を可能にしています。訪日外国人観光客の増加にも対応する仕様です。
4. バリアフリー化の推進
車椅子やベビーカーの利用者のためのフリースペースが確保され、トイレも従来の和式ではなく、車椅子対応の洋式トイレが新たに採用されています。
建物の設計だけではなく、電車の設計においても、バリアフリーへの配慮が必須となっているようです。
5. 環境性能の向上
高効率で機器の小型化が図れる「シリコンカーバイド(SiC・炭化ケイ素)」と呼ばれる素材があります。この素材を使って製造された半導体の素子を、車両の加速や減速といった制御機器の一部に採用することで、消費電力を削減し、環境性能を向上させています。
また、制御方式についても、現行の211系にはなかった「VVVFインバーター(可変電圧・可変周波数制御)」が採用されています。
電力の削減が図れるインバーター制御は、現在の電車の主流となっていますが、地方のローカル線ではインバーター制御ではない旧式の車両がまだまだ現役で走っています。そのため、省エネにつながる制御方式の変更も注目すべき改善点と言えそうです。
建築と電車、空間デザインの共通点
建物と電車はまったく異なるものですが、デザイン、快適性、バリアフリー、環境性能など、建築の設計でも重視すべき共通のキーワードが、E131系の概要にもいくつか登場していました。
気になって少し調べてみたところ、10年ほど前から小田急のロマンスカーや、西武鉄道のラビューと呼ばれる電車など、建築家がデザインした観光列車や特急が運行するようになっているそうです。建築家の知見を電車の空間デザインに活かす事例が増えているようです。
【参考】
東洋経済オンライン「意外に多い、著名建築家が手がける鉄道デザイン」
https://toyokeizai.net/articles/-/447249
今回調べたことを踏まえて考えてみると、「空間をデザインする」という点では、建築と電車には何らかの繋がりがあるように思えてきます。
おわりに
今回は、JR東日本の新型電車E131系について調べた内容をご紹介しました。安全性、快適性、情報提供、バリアフリー、環境性能――どれも建築設計にも通じる重要な視点です。
日常的に利用している電車も、視点を変えて見てみると、設計や技術の面から多くの学びがあります。設計のヒントを得るきっかけにもなるかもしれないので、今後も電車のデザインや新しい機能に目を向けていきたいと思います。
2026年秋のE131系営業運転開始が、今から楽しみです。
【参考】
本記事に掲載した情報および車両の詳細・写真は、下記のJR東日本公式プレスリリースをご参照ください。
JR東日本プレスリリース「中央本線・篠ノ井線・信越本線に新型車両を投入します」
https://jreast.co.jp/press/2026/nagano/20260507_na01.pdf