今日は、私たちの身近にある、電気と建物の仕組みのお話です。
アースって何?
まずは今回の最初のキーワードである「アース」について見ていきましょう。
一般的に「アース」と呼ばれるものは、「接地」のことを指しています。
アース(英語:earth)は言葉の通り地球を表し、地面と接触状態になっていることを意味します。
また、地面(地球、earth)とつながっている装置を意味する場合もあります。
「接地抵抗」は、電気機器の本体と地面の間の抵抗値(電位差)のことを指し、地面へどれくらい電流を流せる状態であるのかという目安のことを指します。
身の回りのアース
20m以上の建物には、避雷設備を設備することになっていますが、これには地面へと異常電流を流す設備が接続されています。
また、電気機器周りや家庭の洗濯機、冷蔵等の水回りにもアース線が設置してありますので、この仕組みは皆さんもすでにご存じかもしれません。
落雷や漏電が発生した場合、身体の安全を守ったり、機器を損傷から守ったりしてくれますので、必要不可欠な設備と言えるでしょう。
アースにまつわる取り決め
以上に例を挙げた電気を地面に流す仕組み「アース」は、電気の基本的な設備であり、重要な設備でもあります。
これに関しては、建築基準法や電気事業法、労働安全衛生法などによって法的な取り決めがされています。
当然、接地抵抗には法律で定められた「規定値」があるわけで、この規定値の範囲であればアースは正常に機能し、安全な状態であると言えます。
逆にこの規定値が取れていないと、電気が正常に流れてくれないことになるため、非常に危険な状態であると言えます。
建築の現場ではどんな問題が起きるのか
ここでは以前実際に現場で起こった、接地抵抗に関する課題の例を紹介します。
一般的に山間地帯、川沿いでは、接地抵抗が取れない場合が多いので、十分な事前調査が必要です。
事前の地盤調査の結果は、建物の構造を考える上で必須のものですが、一連の電気関連設備を考える上でも必要なものです。
この案件では、設計の段階から事前に専門業者に依頼して、接地抵抗が取得出来るかどうかの調査を行っていましたが、当初より規定の接地抵抗を取ることが困難であることが分かっていました。
そこで考案した解決法は、裸銅線を約2km地中に埋設するというものでした。
これにより接地抵抗の規定値が取得できるだろうと予想を立てました。
①の写真は、管路の絵を示しており、管上-300mmに埋設します。
②の写真のような銅線を埋設します。
一般的には接地線の工事は数万円で済むことが多いですが、このように込み入った工事となると、費用が高額に跳ね上がりますので、その点に関しても考慮しておく必要があります。
2022年よりコンセントの設置基準が変更
ここでは、関連事項として、コンセントにおける接地について基準の変更についても触れておきます。
変更ポイントは以下の通り。
- 特定場所、湿気及び水回りのコンセントは、接地が義務化され、接地付きコンセントが必要とされます。
- 住宅では、”上記以外”全てのコンセントをアース付きとすることが、推奨から勧告となりました。
→ 住宅では、全てのコンセントをアース付きにするのが良いということになります。
弊社でも、基準を満たす安心・安全な電気設備の設置に邁進して参ります。