今回の記事では2023年4月15日から6月4日にかけて、長野県・松本市美術館で開催中の企画展「アーツ・アンド・クラフツとデザイン -ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで-」に行ってきたレポートをお伝えします。
なお今回は、書き手である私が特に興味のある「ウィリアム・モリス」に焦点を当てその魅力に迫る形で、企画展示で見てきた内容、モリスの魅力についてご紹介していきます。
松本市美術館の企画展示を見に行ってきました。
今回の企画展は「アーツ・アンド・クラフツとデザイン -ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで-」というタイトルです。
19世紀に活躍したイギリス人芸術家で「モダン・デザインの父」モリスが主張した、生活と芸術の融合、そしてその思想に共鳴したデザイナーや建築家により発展した「アーツアンドクラフツ」をめぐる展示でした。
今回の展示会では、モリスのテキスタルデザインによる版押しの壁紙やカーテン、タペストリーといったファブリックの本物が間近に見られるということで、またとない機会を逃すわけにはいくまいと美術館まで足を運びました。
ウィリアム・モリスという人物
1834年イギリスで生まれたウィリアム・モリス(William Morris)は、若いころに父親を亡くし、苦学の末に大学で建築を学びました。一度は建築事務所で働くものの、その後、絵画に移行し家具の絵付けや内外装を手掛け、友人らとのちのモリス商会を立ち上げています。
産業革命で粗製乱造される工業製品が身近に溢れていくのを憂い、手仕事にこだわったテキスタイルや家具、日用品などを制作し、普及にも努めました。彼のこの動きはのちのアーツ・アンド・クラフツ運動の先駆けでもあります。
この記事の著者である私は、昔からモリスファンで、モリスにえもいわれぬ親近感を抱いています。
ということで、今回美術館では、4部構成の展示のうち、モリスを取り上げた前半部分をメインに見てきました。
モリスの作品
彼の手仕事の中で関心させられるのは、例えば、大ぶりな柄の多色刷りの壁紙でも、ムラや継ぎ目が全く目立たず、仕事ぶりが繊細で正確であるということです。
まさにクラフトマンシップを体現していることが見てとれます。
他のデザイナーの作品ももちろん展示されていましたが、著者の私個人的にはモリスの大ぶりな柄と繰り返しのパターンなのにそれを感じさせない自然なデザインが、とても好きでした。
日本でも買えるモリスのパターン
実はモリスのデザインした壁紙など、彼のモチーフを用いた作品は、現在の日本でも買うことができます。
(Morris&Coで扱っています。「モリスワールド」ホームページ:https://morrisworld.jp/)
残念ながら、日本の家の形式や内装の趣向はイギリスのものとは違うので、彼の壁紙をお勧めする機会はなかなかありません。
しかし自然の草花や動物を模した模様はどれもとても可愛らしく、テーブルウェアやクッションカバーなどであれば、あまり値も張らず取り外しもできるのでおすすめです。
モリスのパターンの生地は服飾でも使われることがあり、スカートや部屋着などをはじめバッグやポーチ、手芸の為でも出回っています。女性の皆さんは、どこかで一度は目にしたことがあるかもしれませんね。
衝撃事実発覚。目利きできなかったサセックス・シリーズ…
余談ですが、この展示会ではサセックス・シリーズと呼ばれる家具一式の展示がありました。
これはモリスが設計した家具のコレクションなのですが、展示を見ながらショックな事実を知ってしまいました。
私が昔学生だった頃、お気に入りのアンティークショップで、私が建築の学生だからとオーナーが特別に値引きしてくれ、「サセックスシリーズの一脚」だと言われる椅子を譲ってもらったのですが…
実は、違った、ということが発覚しました。
座面が違うので違和感はあったのですが、当時は詳しく調べる事はせずに購入してしまいました。
今回、人の話を鵜呑みにせず、基本的には自分で勉強しないといけないのだと改めて思いました。
とてもショックですが、椅子は確かにイギリスのアンティーク良品なので、今後も愛用はしていくつもりです。
これを機に、また改めてインテリア関連の知見を深めていきたいと思いました。