最近相次いで報道されている下水道事故や道路陥没。こうしたインフラの問題は、建築に関わる私たちにとっても他人事ではありません。今回は、「道」という言葉をキーワードに、まずインフラ問題について考え、その後道にまつわる名言から哲学的なものの見方に触れてみたいと思います。
目次
老朽インフラと「道」の危機
相次ぐ下水道事故とその背景
秋田県男鹿市では、下水導管内に滞留していた有毒ガスによる死亡事故が発生しました。また、埼玉県八潮市では、老朽化した下水道管が原因で道路が陥没するという事故も報告されています。これらはすべて、老朽インフラの放置がもたらすリスクを浮き彫りにしています。
全国に広がる老朽化問題
国土交通省の調査によれば、令和4年度に発生した道路陥没件数は全国で約1万件に上り、都市部では下水道施設が原因となるケースが多く見られます。特に、高度経済成長期に整備された都市部では、コンクリート製下水道管の耐用年数(約50年)を超えたインフラが急増しています。
更新の難しさと各自治体の取り組み
インフラ更新には多額の費用がかかり、人口減少により使用料収入が減少する中で、短期的な対応は難しい状況です。その中で、例えば大阪市では民間委託の活用やAIによる劣化調査を導入し、松本市では年代順から劣化度優先へと更新方針を転換するなど、全国で創意工夫が行われています。
建物の寿命と責任
建築物にも寿命があります。古くなった建築物には老朽化や耐震性不足の問題など、さまざまな課題が存在します。このblogの筆者は、調査・分析を通じて的確な改修計画を立て、トラブルが起きる前の「予防的措置」をしていくことが重要と考えます。
言葉に見る「道」の教え
歴史や偉人から学ぶ「道」
- 「意志あるところに道は開ける」 – エイブラハム・リンカーン
- 「千里の道も一歩から」 – 老子
- 「人生は道路のようなものだ。一番の近道は、たいてい一番悪い道だ」 – フランシス・ベーコン
- 「人が通ったところに、道は出来る」 – フランツ・カフカ
現代の言葉から学ぶ
- 「小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道」 – イチロー
- 「この道を行けばどうなるものか…迷わず行けよ。行けばわかるさ」 – アントニオ猪木
すべての道はローマに通ず
「すべての道はローマに通ず」ということわざは、多様な手段を通じて目的地に到達できるという教えです。どのような道を選ぶにせよ、「どこに向かっているのか」という目的地の明確化が重要です。
人道という「道」
「人道支援」という言葉にあるように、人として選ぶべき道は、常に人々の尊厳と安全を守ることです。災害や戦争で苦しむ人々に対し、何ができるのかを考える姿勢は、建築にも通じるものがあります。
原点に立ち返ることの大切さ
日々の仕事に忙殺される中で、「誰のために」「何のために」この仕事をしているのかを振り返ることの大切さを、改めて感じています。この仕事を通して誰に喜んでいただけるのか、と言う原点に戻ることが大切だと、このblogの筆者は考えます。
皆さんが幸せ、平和というゴールに向かう中で、我々は建築を通して何ができるのか、俯瞰して見る余裕を持つことも必要だと感じています。