今回は、建物の建築前に行う地盤調査について、目的、手法、調査結果の観察法にポイントを絞り、要点をわかりやすく解説していきます。
 
 

地盤調査の目的

建築物を設計・施工する際、地盤の特性を把握することは非常に重要です。地盤調査の目的は以下の通りです。

建築物の安全性確保 : 地盤の強度や安定性を調べ、建物の基礎設計に役立てる
コスト削減 : 適切な地盤改良工事や基礎工法を選ぶことで無駄なコストを削減
災害対策 : 液状化や地すべりといった地盤災害のリスクを評価する。

適切な地盤調査を行うことで、建物の長寿命化や環境への影響を最小限に抑えることができます。
 
 

地盤調査の種類

原位置試験

原位置試験は、現地で直接地盤の特性を評価する調査方法です。代表的な手法として以下があります。

• ボーリング試験: 地盤に穴を掘り、土や岩を採取して地質を分析
• 載荷試験: 実際に荷重をかけ、地盤がどの程度沈下するかを測定
• サウンディング試験: プローブを地盤に挿入し、抵抗力を測定して土の硬さや密度を評価
 

室内土質試験

室内土質試験は、現地から採取した土のサンプルを用いて行う試験です。詳細な土質の性状を調べることが可能です。

• 三軸圧縮試験: 土のせん断強度を評価し、地盤の安定性を分析
• 土粒子の密度試験: 土の密度を測定し、締まり具合を評価
• 粒度試験: 土粒子の大きさを分類し、透水性や構造を分析

これらの試験を組み合わせることで、地盤の詳細な性質を把握できます。
 
 

よく行われる手法:ボーリング調査と標準貫入試験

地盤調査を行う際に一般的によく行われる手法を以下で解説します。

ボーリング調査

ボーリング調査は地盤に穴を掘り、地層構造や地下水位を把握する基本的な手法です。地盤の全体像を把握するのに適しており、他の試験(例:標準貫入試験)を併用することもできます。

標準貫入試験

標準貫入試験(SPT)は、ボーリング孔を活用して地盤の強度を測定する試験です。N値と呼ばれる指標が得られ、この値をもとに地盤の支持力や締まり具合を評価します。


 
 

コアとは

「コア」とは、ボーリング調査で採取された円柱状の地盤サンプルを指します。このコアを用いることで、地層構成や地盤の特性を直接観察できます。
また、コアの状態から地盤の変形特性や水分含有量を分析することも可能です。

コアの観察結果は以下のような形にまとめられ、深度による地質の違いが肉眼でもすぐにわかるようになっています。


 
 

まとめ

地盤調査は、建築物の安全性と経済性を確保する上で欠かせないプロセスです。本記事では、地盤調査の目的から代表的な手法であるボーリング調査や標準貫入試験までを解説しました。
建築設計において、地盤調査は建物の長期的な安全性を左右する重要な要素です。適切な調査とその結果を活用することで、質の高い建築を実現できます。