近年、飲食店で配膳ロボットを目にする機会が増えています。この技術革新は、飲食業界に留まらず、建築設計に新たな視点をもたらす可能性を秘めています。本記事では、配膳ロボットの機能や技術、そしてそれが建築設計に与える影響について探ります。
配膳ロボットの基本機能と主な製品
配膳ロボットの代表的な製品であるPudu Robotics社の「BellaBot」は、最大40kgの積載量、13時間のバッテリー寿命、そしてAIによる音声案内や障害物回避機能を備えています。
BellaBot: https://www.pudurobotics.com/jp/products/bellabot
他にも「KettyBot」「DinerBot」「Servi」など、さまざまな製品が市場に登場しています。
KettyBot: https://www.pudurobotics.com/jp/products/kettybot
DinerBot: https://www.keenon.com/jp/product/T10/index.html
Servi: https://www.softbankrobotics.com/jp/solutions/servi
SLAM技術による高精度の動作
BellaBotの動作の中核を担うのが「SLAM技術」です。SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)とは、ロボットが自分の位置を推定しつつ周囲の地図を作成する技術で、屋内やGPSの利用が難しい環境で特に効果を発揮します。
SLAMにはカメラを用いる「Visual SLAM」とレーザーを用いる「Laser SLAM」の2種類があり、それぞれ利点と課題を持っています。Visual SLAMはコストが低い一方で暗所に弱く、Laser SLAMは精度が高いもののコスト面で課題があり、障害物の少ない環境での測定が難しくなります。
以下の動画はカメラを用いる「Visual SLAM」のしくみです。
以下の動画はレーザーを用いる「Laser SLAM」のしくみです。
ここまで紹介したロボットにはVisual SLAM とLaser SLAM 両方が搭載されており、双方から得たデータをうまく組み合わせることで精度を上げています。
進化する配膳ロボット:Pudu D7の登場
2024年9月には、新型配膳ロボット「Pudu D7」が発表されました。このロボットは、AI機能やロボットアームを備え、人間の上半身のようなデザインを特徴としています。さらに、全方向に移動可能な車体を組み合わせることで、高度な機動性と器用さを実現しています。
「Pudu D7」は配膳だけでなく、補助作業や細かなタスクにも対応可能です。この特性により、従来のロボットよりも幅広い用途で活用できると考えられています。例えば、配膳作業を担う「BellaBot」と連携し、トレーの片付けや補助作業を行うことで、効率的なサービスが可能になるでしょう。
このような進化を遂げる配膳ロボットは、飲食業界における新たな働き方を示すだけでなく、ロボットが生活や業務においてより深く関わる未来の象徴ともいえます。
建築設計におけるロボット導入の可能性
現在、配膳ロボットの設置は既存建物への後付けが主流ですが、将来的にはロボット導入を前提とした建物設計が必要となってくる可能性があります。例えば、飲食店の動線設計や充電ステーションの配置など、ロボットが効率的に機能するための建築設計が求められるかもしれません。
まとめ
配膳ロボットは飲食業界だけでなく、他業界にも新たな視点をもたらしています。建築設計の業界を取ってみても、技術革新を活かした建築設計が、今後必要になってくるかもしれません。
本記事の筆者は、Pudu D7をはじめとする新たな配膳ロボットたちにより、私たちの生活の中でのロボットの役割が一層重要になりつつあることを実感しています。配膳ロボットが切り拓く未来に期待が高まります。