ブログ筆者は先日、家族で大阪・滋賀を訪れました。大阪万博期間の最後の週末ということもあり、滋賀県に宿泊し、県内のいくつかの建築物を見学する機会を得ました。今回は、その中でも特に印象的だった2つの建築についてご紹介します。
目次
多賀結いの森:気軽に立ち寄れる公民館

滋賀県多賀町にある中央公民館「多賀結いの森」は、名神高速道路のサービスエリアもある多賀町の中心部に位置しています。設計を手がけたのは、o+h(大西麻貴氏+百田有希氏)です。このユニットは、山形県のシェルターインクルーシブプレイス コパルなど、多数の建築雑誌に掲載される作品を手がけています。
コンセプト:開かれた公共空間
「これまで公民館にかかわったことのない人でも気軽に立ち寄れる」というコンセプトのもと、各部屋は庭を介しながら廊下などで繋がれています。あちこちに休憩ができるスペースが設けられており、公民館という施設の敷居を低くする工夫が見られます。
実際、ブログ筆者が訪れた平日の夕方には、町民の集まりや学校帰りの子供たちが公民館の中や隣接する公園で遊んでおり、たくさんの人が利用していました。建物の一部には就労継続支援の作業所もあり、地域に開かれた施設として機能しています。
建築的特徴

片流れ屋根と採光:各部屋の片流れ屋根をバラバラの向きにすることで、屋根の間のハイサイドライトから太陽光を効果的に取り込んでいます。
地域材の活用:多賀町産の杉、檜を構造材、下地・内外装材、家具に使用しています。構造材には入手しやすい規格材を金物でつなぐ方法が採用されており、地域材の有効活用と施工性の両立が図られています。

ディテールへのこだわり:建具の上部にガラスを配置し、ガラス上部は垂木につけた木のスリットにはめ込むなど、細部まで丁寧に設計されています。また、サッシュ枠を壁や柱で隠し、見た目をすっきりとさせる工夫も見られました。
可変性のあるホール:ホールは収納式の座席を採用し、間仕切りでホールを2つに分けて使用できるようになっています。多様な用途に対応できる柔軟性を持った空間です。
ラ コリーナ近江八幡:遊び心満載の複合施設

バームクーヘンやお菓子で有名な「ラ コリーナ近江八幡」は、建築的にも非常に興味深い施設です。多くの建築家が設計・監修に携わっていますが、代表的なのは長野県出身の藤森照信氏です。
メインショップの特徴
メインショップの中央には大きな吹き抜けがあり、漆喰壁に黒炭片を貼り付けて凹凸をつくることで消音効果を持たせています。この作業は、藤森氏とスタッフの方々が手作業で行ったそうです。
ショップの軒は、照明などの設備の他、梁・桁、窓も塗り壁に綺麗に納められており、見た目が素晴らしい仕上がりです。ただし、その完成度の高さから、左官業者さんの苦労が偲ばれました。
敷地全体の構成
メインショップの他にカステラショップがあり、これからオープンする部分も含めて回廊になっています。中心部は田んぼと畑になっており、自然と建築が調和した空間構成です。

回廊も凝ったつくりで、その途中には小さい子供が入れるくらいの扉がついたモニュメントがいくつか配置されています。実際に、子供の写真を撮る方の列ができており、遊び心満載の仕掛けが来訪者を楽しませていました。


訪問時にも一部で建築工事が行われており、これからさらに面白くなりそうな予感がします。お菓子が有名なこともあり、団体の観光客も訪れ、敷地周辺はかなり混雑していましたが、また訪れたいと思わせる魅力的な場所でした。
おわりに
今回訪れた2つの建築は、それぞれ異なるアプローチで「人を惹きつける空間」を実現していました。
「多賀結いの森」は、公共施設としての機能を果たしながら、地域に開かれた居場所としての役割を担っています。地域材の活用や、細部にわたる丁寧な設計は、公共建築のあり方を考える上で参考になります。
「ラ コリーナ近江八幡」は、商業施設でありながら、建築そのものが体験の一部となっている点が印象的でした。遊び心と丁寧な施工が融合した空間は、訪れる人々に特別な時間を提供しています。
実際に建築を訪れ、空間を体験することで得られる学びは大きいものです。皆様も機会があれば、ぜひ訪れてみてください。