今回は新建築積算士ガイドブックの概要と、その最新改訂内容についてご紹介します。

建築積算士ガイドブックとは

新建築積算士ガイドブックは、日本建築積算協会が認定している資格試験の出典根拠となるもので、主に積算実務に特化したガイドブックです。建築積算士という資格を取るための勉強にも使われ、建物の設計や工事の計画を立てるときに役立ちます。この本を使うことで、正確な工事費を見積もることができるようになります。

建築積算に関する資格

建築積算に関する資格には、建築積算士補、建築積算士、建築コスト管理士があり、業務領域やスキルは積算士補から積算士、コスト管理士へと広がっていきます。

ガイドブックの内容

ガイドブックには、建築積算の基礎から、工事の発注・選定方式、工事費の構成、積算実務、積算データ分析、VE手法など、幅広い情報が掲載されています。特に、建築数量積算基準・同解説(令和5年版)と重複する部分が多いため、積算時には合わせて確認することをおすすめします。

 

最新の改訂内容 (2024年7月現在)

木造建築の追加

今回の改訂で新たに木造建築に関する内容が追加されました。これまで構造部分の規定がなかった木造建築について、2023年4月に建築数量積算基準及び建築工事内訳書標準書式が改訂され、木躯体に関する基準がガイドブックに加わりました。低層で小規模な軸組工法の建築物に適用されるもので、木造住宅の積算は対象外とされています。

BIMの導入

BIM(Building Information Modeling)についても新たに言及されています。国土交通省では「官庁営繕事業における一貫したBIM活用に関する検討会」を実施しており、積算にBIMデータを活用する「BIM連携積算」を試行しています。この取り組みは、延べ面積3,000㎡以上の新築設計業務に適用されます。

解体工事の追加

解体工事に関する内容も新たに追加されました。解体工事は今後ますます重要性が増す分野であり、その積算方法や基準についての理解が求められます。

 

コスト管理の重要性

ガイドブックには工事費の概算手法についても記載されています。積算協会は、基本計画段階の概算が重要であると考えているようで、実施設計時の予算オーバーや設計変更を防ぐため、詳細で精度の高い概算費を算出することを推奨しています。

実務での積算方法

小規模の建物では各設計者が積算業務を行うことが多いため、積算方法のルールについてはガイドブックや建築数量積算基準を参考にすることが重要です。外注する場合でも、各段階でのコスト管理は必須です。

 

まとめ

新建築積算士ガイドブックは、建築積算に関する重要な情報を網羅しています。特に、最新の改訂内容である木造建築、BIM、解体工事についての理解を深めることは重要なポイントであると言えます。
弊社としても、これらの知識を活かし、精度の高い積算とコスト管理のもと、信頼のおける設計を提供していきたいと考えています。