この記事では、マンションの既製コンクリート杭などに採用されるハイブリッドニーディング工法とはなにか、解説していきます。また弊社での取り扱い事例も一部ご紹介します。
目次
建築現場で使用される杭の施工法を種類別に紹介
施工方法で大まかに2種類に分類できる
杭工事は施工方法で分類すると、
・既製杭工法
・現場打ちコンクリート杭工法
に分けられます。
図から分かるように、既製杭工法では、別の工場で作られた電信柱のようなコンクリート柱を杭として埋め込む方法です。一方で現場打ち杭工法は、あらかじめ開けた穴に鉄筋で組んだカゴのようなものを入れ、そこにコンクリートを流し込むという方法です。
また、上の図から分かるように、既製コンクリート杭の中には3種類の杭工法があります。
その3種類とは
- 打ち込み杭工法
- 埋め込み杭工法
- 回転杭工法
です。
それぞれの杭の特徴
- 打込み杭:支持力は大きいが、施工時に振動や騒音がある。このデメリットのため、最近はあまり採用されない傾向がある。
- 埋め込み杭:支持力については、打ち込み杭よりは支持力は小さいが、現場打ち杭よりは大きい。振動や騒音も打ち込み杭に比べると小さい。さまざまな工法の中でも、いろいろな要素が中間的である工法。
- 回転杭:先端に羽根を取り付けた鋼管杭に回転力を付与し、地盤に貫入させる工法。
無騒音・無振動で施工できるが、地盤がに硬い石や異物が多く入っている場合、回転羽が破損する可能性がある。
なお、今回テーマとして取り上げたハイブリッドニーディング工法は、既製杭工法で、埋め込み杭です。
言葉の意味
ハイブリッドニーディングというとなかなか聞きなれない言葉ですが、
「ハイブリッド」は、異なる2つの要素、方式が組み合わさったもの、またはそのような性質を持つものを指し、「ニーディング」は英語で、こねたり練ったりすることを指します。
言葉の意味を見ることで、この方法のイメージが掴みやすくなったのではないでしょうか。
ハイブリッドニーディング工法とは
ハイブリッドニーディング工法の概要
ハイブリッドニーディング工法はその言葉の意味からも分かるように、種類の違う杭を繋げて使用する工法です。
基本的に下杭には、節杭、または拡頭節杭、あるいは頭部厚型節付き杭などを使用します。
これらの杭の上部には、ストレート杭、節杭、拡頭杭など様々な杭を上杭として継ぐことができます。また、鋼管杭を使用するタイプもあります。
そして下杭と上杭、上下のパーツを継手で繋げ、施工を進めていいきます。
この工法では工期短縮と高いコストパフォーマンスが見込めるため、最近ではマンション建設などにも多く使われています。
弊社での取り扱い事例
以下では弊社が手がけた案件の中で使用したハイブリッドニーディング工法について、一部ご紹介していきます。
写真の例では、下杭に摩擦力を追加した節杭 (PHC杭、PRC杭など高強度コンクリートを使用した杭) を採用しています。
上杭には鋼管とコンクリートを融合させたSC杭(外殻鋼管付きコンクリート)を使用しました。
下杭と上杭を繋げる継手については、3枚の接続プレートを接続ボルトで固定するタイプを採用しています。
こちらの継手には、
- 気象の影響を受けない
- 溶接継手と同等の性能がある
- 施工時間の短縮になる
などのメリットがあったため採用に至りました。
実際に使われた3枚の継手は、以下の写真のようなものです。
なお、施工時に具体的にどのようなことを行なっているかについても少しご紹介していきます。
先の写真の例では、特殊なオーガヘッドを用いて、掘削液を注入しながら掘削しました。
この方法では、泥状になった土砂を孔壁に塗り付けながら根固め部まで進みます。
その後根固め部の掘削が終わったところで、プラント作成した根固め液(セメントミルク)を注入します。
杭周固定液を注入しながらヘッドを引き上げ、杭を立て込みをはじめます。
以上、弊社での取り扱い事例でした。