本日は、先日見学する機会のあった保育園と小学校の建物見学レポートをお届けします。
韮崎市立すずらん保育園の見学
まずはじめに見学させていただいたのは保育園です。
概要など
建築写真は 山辺構造設計事務所 ホームページからご覧いただけます。
韮崎市立すずらん保育園 建築写真:https://www.yamabe-structure.com/%E6%9C%A8%E9%80%A0
保育中のため遊戯室を中心に見学しました。
この保育園は2015年竣工、構造設計は山辺構造設計事務所、意匠設計はVent計画設計室が手がけられました。木造平屋建てで、延べ面積は約1560㎡です。
地場産の4寸角のひのきを使用し、方杖アーチ架構を形成するなど、木造らしさを追求しています。
設計と構造の特徴
仕口※や継手の性能は実大実験により確認をしてから設計しているそうです。また、仕口はただ重ねて長ボルトで止めることもできるそうですが、掘り込みをいれて組むことにより、木造らしさを強調するように心がけているとのこと。また、子供の安全性を考慮し、足元には埋木を施し隙間をなくしています。
※仕口(しぐち):木材の加工において、2つの木材を交差するように直角につなぐ加工方法のこと。また、その接合箇所のこと。
七沢希望の丘初等学校の見学
もう一つの見学先は神奈川県厚木市に位置する私立の小学校、七沢希望の丘初等学校です。
概要など
建築写真は七沢希望の丘初等学校ホームページからご覧いただけます。
七沢希望の丘初等学校 校舎について: https://nanasawa-kibou.jp/menu01/#kousya
この学校は2008年竣工、地下一階RC造、地上2階木造の建物です。構造設計は山辺構造設計事務所、意匠設計は中村勉総合計画事務所が手がけられました。地場産材を活用し、梁間方向に斜材を組み込んだ架構とポリカーボネイト版の組み合わせにより、特徴的な構造が施されています。
構造計画の挑戦
設計秘話としては、この建物の計画は平面的にも立面的にも整形でなかったため、構造計画に非常に苦労されたとのこと。この建物も地場産材を多用していて、柱は丸太材、梁は製材でした。梁間方向は斜材を組み込んだ架構ですが、桁行については、明かり採りを兼ねた面格子が耐力壁になっているのだそうです。表面に張られたポリカーボネイト版も耐力要素として効いているそうです。
こちらの建物についても実大実験により性能を評価したエピソードが紹介されました。
まとめ
両施設ともに木材の味わいと特性を生かした建物であり、今後の建築設計に多くの示唆を与えてくれる見学会でした。貴重な機会に参加できたことに感謝しつつ、日々の業務に取り組んで参ります。