最近、弊社伊藤建築設計事務所が、以前建築で関わらせていただいた会社、株式会社 湯川酒造店さん(長野県)に関する嬉しいニュースが飛び込んできました。
湯川酒造店さんのお酒「十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦」が、なんと世界的ワインのコンテストIWCの酒部門で優勝されたとのことでした。湯川酒造さんのお酒が海外でも高く評価され、世界で広くご活躍されている様子に、弊社も大変喜ばしく思っています。

今回は「IWCというコンテストはどんなものなのか」「日本酒の基本知識と種類」にも触れながら、今回のニュースについて解説していきたいと思います。

 

IWCとはどんなコンテストか?

世界最大規模のワイン品評会「IWC」は毎年ロンドンで行われ、”世界でもっとも大きな影響力をもつワインのコンテスト”とも言われています。

そんなIWCに「SAKE部門」が誕生したのは2007年。以来、SAKE部門の受賞酒は国内外で注目され、IWCは日本酒の海外進出における重要なイベントとして、その価値を高めてきました。

審査結果に応じて与えられる評価は「ゴールドメダル」「シルバーメダル」「ブロンズメダル」「大会推奨酒」の4つです。ゴールドメダルを獲得した出品酒の中で特に優れた数点に「トロフィー」の栄誉が与えられ、その「トロフィー」を獲得した中の1点に、SAKE部門の最高賞として「チャンピオン・サケ」の称号が授けられます。

 

2023年度のIWC、「純米吟醸 美山錦」の受賞結果


2023年度IWCの概要

2023年のコンテストは、7月5日(日本時間)に行われました。

2023年のSAKE部門は9カテゴリーに分けられ、「普通酒」「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「本醸造酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」「スパークリング」「古酒」の部門に分かれて審査がなされます。審査は銘柄を隠して試飲する、ブラインドテイスティングによって行われたようです。

 

2023年度IWCのチャンピオン ・サケ「純米吟醸 美山錦」の功績

以下が今回「十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦」株式会社湯川酒造店(長野県)が獲得した賞です。

純米吟醸酒 部門にてゴールドメダル 

純米吟醸酒 部門にて純米吟醸トロフィー

◎「チャンピオン・サケ」として最優秀賞受賞

前章のIWCとはどんなコンテストか?で触れたように、「チャンピオン・サケ」受賞ということは出場した全ての酒の中で最も優れた酒ということになります。

 

日本酒の基本知識

それでここで日本酒の基本的な知識について整理していきましょう。

有名な酒米

有名な酒米には、以下のものがあり、これらは五大酒米と呼ばれています。

  1. 山田錦(やまだにしき)
  2. 美山錦(みやまにしき)
  3. 雄町(おまち)
  4. 五百万石(ごひゃくまんごく)
  5. 八反錦(はったんにしき)

日本酒の基本8種類とは

日本酒(特定名称酒)は、醸造アルコールが使われているか使われていないかで、まず大きく2種類に分けることができます。醸造アルコールが使われていない純米酒と醸造アルコールが使われている本醸造酒です。

その中で各種類の中でさらに4種類ずつ、合計8種類に分類することができます。
以下がその名称です。

  1. 「純米大吟醸(じゅんまいだいぎんじょう)」
  2. 「純米吟醸(じゅんまいぎんじょう)」
  3. 「特別純米(とくべつじゅんまい)」
  4. 「純米(じゅんまい)」
  5. 「大吟醸(だいぎんじょう)」
  6. 「吟醸(ぎんじょう)」
  7. 「特別本醸造(とくべつほんじょうぞう)」
  8. 「本醸造(ほんじょうぞう)」

上記をふまえ、以下の表を参考に作り方の違いと特徴を見てみましょう。

日本酒の種類による特徴、味の違い

それでは次にそれぞれの特徴、味の違いなども簡単にご紹介していきます。この8つをおさえておけば、日本酒を語るのも怖くないはずです…!
※ただし生酒やひやおろしなど、さらに細かく分けられるものもあることを覚えておきましょう

1.純米大吟醸酒

原料:水・米・米麹
精米歩合:50%以下
極限まで磨かれたお米が使用されている純米大吟醸酒は、お米の甘さをしっかりと感じる、やさしい飲み口です。

2.純米吟醸酒

原料:水・米・米麹
精米歩合:60%以下
精米歩合が大吟醸よりも低いので、質がさがってしまうと思われがちですが、そんなことはありません。純米吟醸ならではの、華やかな香りと芳醇な味わいのコントラストを楽しむことができます。

3.特別純米酒

原料:水・米・米麹
精米歩合:60%以下または特別は製造方法
洗練された華やかさのある特別純米酒。大吟醸や吟醸より、米の旨味や風味を強く感じます。

4.純米酒

原料:水・米・米麹
精米歩合:規定なし
精米歩合がとくに決められていないのが、純米酒(通常は60〜70%のものが多いです)。腰の強さが特徴で、お燗に合う種類が多くあります。

5.大吟醸酒

原料:水・米・米麹・醸造アルコール
精米歩合:50%以下
原料に使用している醸造アルコールに香りを引き立てる効果があるので、同じ精米歩合の純米大吟醸よりもすっきりとした香りの高さを楽しめます。

6.吟醸酒

原料:水・米・米麹・醸造アルコール
精米歩合:60%以下
フルーティでなめらかな口当たり。醸造アルコールは、アルコールを補充する目的ではないので、使用する量は少なめです(大吟醸も同じ)。

7.特別本醸造酒

原料:水・米・米麹・醸造アルコール
精米歩合:60%以下または特別は製造方法
味わいを軽くする、香りを生み出すという醸造アルコールの特性を生かし、個性的な本醸造酒をつくる酒蔵も多いそうです。

8.本醸造酒

原料:水・米・米麹・醸造アルコール
精米歩合:70%以下
醸造アルコールの使用量が、使用する白米重量の10%を超えないように決められているのが特徴。スタンダードな日本酒で、常温、燗酒、冷酒など、さまざまな飲み方を楽しめます。

 

その他知っておくと便利な情報

 私たちがごく普通に日本酒として飲んでいる酒は特定名称酒(上記8種類の酒)以外を指す総称であり「普通酒」の明記は基本的にありません。普通酒の味は、使用される水、原料や精米歩合の割合、製造方法、麹菌、醸造環境の違いなどにより味の違いや、風味の違い等、蔵元の個性が出ます。

 また、地理的表示(GI)制度により、日本国内産の米・米こうじのみを原料で使用し、国内で醸造したもののみが日本酒の名称を許可されています。

海外産の原料を使用したものや、日本産の原料を使用していても海外で醸造された清酒は、日本酒の表示を許可されません。